イレッサ訴訟―東京高裁で患者側逆転敗訴

 肺がん治療薬である「イレッサ」の副作用により死亡したとして患者3人の遺族が国とアストラゼネカを訴えていた控訴審である東京高等裁判所(園尾裁判長)は、原告患者側全面敗訴の判決を言い渡しました。
 本件については、第一審である東京地方裁判所は、今年3月、「イレッサ」の輸入販売の当初添付文書に間質性肺炎の副作用につき警告欄がなかったとして、国とアストラゼネカの責任を認めました。
 また、大阪地方裁判所は、今年2月、製造物責任法上の欠陥があったとしてアストラゼネカのみの責任を認め、国の責任は否定していました。
 今回の東京高裁での控訴審は、わずか2回の口頭弁論で結審し、国と企業の責任を否定したものであり、患者=被害者の救済の見地からの疑義を感ぜざるをえません。
 東京高裁におけるある種ドライな控訴指揮の一環とも感じられ、今後の上告審や大阪高裁の判決が注目されます。