オリンパス―損失隠し、不正の連鎖
光学機器大手のオリンパスにおいて、1990年代に財テクで1,000億円位の損失を出し、その損失を隠し、企業買収にからむ不適切な資金で、その損失を埋めていたとの事実が報道されました。
これが真実とすれば、法律上様々な問題が発生します。例えば、
(1)刑事上の責任
不正に関与した取締役等については、金融商品取引法上、有価証券報告書虚偽記載が問題となるでしょう。
また、会社法上は、違法配当に関する罪や特別背任罪が問題となることも予想されます。
(2)民事上の責任
株主としては、不正に関与した歴代の取締役等に対する株主代表訴訟の提起が問題となるでしょう。
また、株主としての損害については、金融商品取引法上の有価証券報告書虚偽記載への損害賠償請求や不法行為に基づく損害賠償請求が問題となります。
(3)行政上の責任
金融商品取引法上の課徴金が問題となり得ます。
(4)上場廃止基準
本件の事案如何によっては、東京証券取引所の上場廃止基準に抵触するおそれが指摘されています。
(5)海外において
本件においては、アメリカの連邦捜査局(FBI)の捜査も報道されており、日本のみならず海外においても問題となる余地がありそうです。