週刊誌出版社社長とコンプライアンス


週刊誌の報道により有名人が名誉を毀損され、出版社に対し相当な金額の慰謝料の支払を命じる判決が、ここ数年来相次いで出ています。
マスコミの報道は、表現の自由として憲法上も保障される、民主主義社会の重要な権利であります。ところが、現実の週刊誌の報道をみていると、興味本位で裏付調査に乏しい記事も見受けられ、それでは報道される側の人権はどうなるんだと思うこともあります。特に有名人のスキャンダル報道においては、そのような記事によって週刊誌の売上が上がっている面も指摘されていました。
今般貴乃花夫妻対週刊新潮事件の東京地裁平成21年2月4日判決は、出版社の社長に対して、名誉毀損等を防止する体制を構築すべき責任を明記したものであり、注目すべき判決と思います。企業一般にコンプライアンスが求められ、内部統制の要請は当然出版社においても例外ではない筈です。
報道の自由の尊重とプライバシーや名誉という人格権の尊重との衝突、そして企業のコンプライアンスの要請の問題は、まだまだ続くものと思われます。