キリンとサントリーが経営統合へか?


キリンホールディングスサントリーホールディングスが、持ち株会社の統合を前提として経営統合の交渉をしている、との報道がなされました。
両社の経営統合によって、売上高は約3.8兆円、ビール事業と清涼飲料事業で国内シェアのトップに立ちます。
経営統合の目的について、国内市場での収益を強化して海外市場を開拓するとの趣旨も報道されています。
サントリーは、非上場の同族経営で有名であっただけに驚きをもってこの報道に接しました。
ただちょっと気懸りな点があります。ビール業界は典型的な寡占市場であり、その2位と3位が経営統合して約50%のシェアを占めるのは、やはり独占禁止法における企業結合規制に抵触する恐れがないのか、と疑問に思わざるをえません。
勿論世界市場(グローバル・マーケット)を考えた場合、ネスレユニリーバ等の巨大企業はあるものの、独禁法が守るべきはやはり日本市場であり、日本の消費者である筈です。
また、日本でのスーパーやコンビニ等の有力大手小売業者の存在によって小売業に十分な価格交渉力があり、有効な牽制力ある取引相手の存在を認めうるものなのでしょうか?
私達、独禁法にかかわる弁護士としては、このようなM&Aが進んでいる場合、公正取引委員会に対して企業結合に関する事前相談を内々にすることがあります。その中で様々の問題を公取委より指摘され、資料や報告書を提出し、場合によっては問題解消措置について具体的交渉をすることもあります。
いずれにしても、キリンとサントリー経営統合が今後どのように展開するのか、目を離せない、と思われます。