ネット上の名誉毀損


インターネットの掲示板やホームページ、ブログ等に個人が他人を誹謗中傷する事実を掲載したとき、刑法上の名誉棄損罪の成立について、マスコミ等と同様の基準で判断されるのか、又は、ネットの特殊性からより緩やかな要件で名誉棄損罪の成立を否定すべき場合がありうるのか、この点が争われた事案があります。
事案は、ラーメン店のFCに関するものであり、第一審の東京地方裁判所は、被告人につきネットの個人利用者として求められる水準の調査をしたとして無罪としました。これに対して、第二審の東京高等裁判所は、それでは被害者保護に欠けるとして有罪で罰金30万円としました。
そして、最高裁判所は、平成22年3月15日判決にて、他の場とくらべて「より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない」と判示しました。
ネット上には安易に他人を誹謗中傷する記事が氾濫しており、これらに対する法律相談も多く寄せられている現状をみると、なるほどと思われる一面を有する最判ですが、現実に名誉毀損罪の告訴に行っても警察がなかなか受理してくれないとの一面もあります。
当ホームページの「ネットの名誉毀損」もご参照願えれば幸いです。