住友電工―株主代表訴訟


 住友電気工業は、本年5月、光ファイバーケーブル・価格カルテル事件で、公正取引委員会より68億円の課徴金納付命令を課されました。
 この事件で、住友電工の株主が、取締役においてリーニエンシーに対応する社内の管理体制を採ることを怠り、そのために会社に課徴金相当額の損害を与えたとして、株主代表訴訟を提起するとの報道がなされました。
 独占禁止法遵守体制の構築は、コンプライアンス体制の一環として取締役の責任と考えられますが、具体的事案においてリーニエンシーを行使しなかった取締役の法的責任が株主代法訴訟という形で提起されるのは初のこととなるようです。
 リーニエンシーを行使するには、その前提として独禁法違反の事実をどのように監査、モニタリングするかが問われます。そして、企業として独禁法遵守のプログラムは、そのマニュアルと遵守の体制作りのみならず、研修や監査を通して実効性あるものとしなければなりません。
 今回の株主代表訴訟において問われる取締役の責任は、そんな法令遵守体制が如何に機能しているかをも問われることとなりそうです。