福島原発事故と原子力損害賠償法

 3月11日の東北大地震とその後の大津波により東京電力福島第一原子力発電所に重大な事故が発生しました。
 この事故による放射性物質の拡散による人への健康被害、多数の住民の避難、乳幼児の発育や将来の健康への懸念、農産物や酪農業の出荷停止、工場の操業停止、漁業への影響、風評被害、精神的苦痛への慰謝料等、極めて巨額の損害が問題となってきています。
 このような原子力事故による原子力損害について、原子力事業者に原則として無過失・無制限の賠償責任を負うものとしているのが「原子力損害賠償法」です。
 この法律においては、原子力損害が「異常に巨大な天災地変」によるときは、原子力事業者は例外的に責任を負わないものとされています。
 今回の東北大地震がこの例外の「異常に巨大な天災地変」に該当するか否かによって、東京電力の責任のあり方が大きく異なってきます。
 今後、国の救済、支援の方針ともあいまって、東京電力原子力損害賠償法による責任が大きな問題となってきます。