「慶應法学」−「もう一つの独占禁止法」

 慶應義塾大学法科大学院が発行する「慶應法学」に弁護士御器谷と弁護士福田が論文「もう一つの独占禁止法」を執筆することになりました。
 独占禁止法は、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法を主な規制対象とする取締法規ないし行政法規とされています。この独禁法は、市場における競争の促進を目的とし、被害の救済を直接の目的とはしていないものとされています。
 平成12年の独禁法改正により独禁法第24条として独禁法に基づく差止請求制度が導入され、独禁法違反行為により被害を被った被害者が裁判所に直接訴えて、その差止めを請求することができることとなりました。
 この独禁法に基づく差止請求は、被害者の救済を直接の目的とするものであり、従来の独禁法の体系とは異質のものであり、「もう一つの独占禁止法」とも呼べるものです。
 この「もう一つの独占禁止法」である差止請求が、導入後の10年の間に如何に機能しなかったのか、今般これを認容する仮処分決定が出ましたが、その持つ意義等につき執筆いたします。