福島県民の3/4に賠償

 1.原子力損害賠償紛争審査会の指針
 文部科学省原子力損害賠償紛争審査会は、平成23年12月6日付にて、福島県民の3/4にあたる約150万人に対して、賠償の新らたな指針を示しました。
この賠償額だけでも、総額約2,160億円となります。
2.具体的指針の内容
(1)政府が避難指示を出した区域以外の福島県内の原発事故の被災者に対して、具体的には、福島市郡山市いわき市等23の市町村民約150万人に対して、自主避難した人、自宅に止った人に、一律に1人8万円の賠償を認める。
(2)妊婦と18歳以下の子供には、本年末までの精神的苦痛等を考慮して、一律に、1人40万円の賠償を認める。
(3)妊婦と18歳以下の子供に対する来年1月以降の賠償については、必要に応じて検討する。
(4)引越し費用や避難にかかった実費、生活費等を実費ベースで賠償する案も検討されたが、手続が繁雑となり、かえって賠償が遅れることも考えられるため、一律の賠償とされた。
3.検討と評価
  一律の金額の賠償は、公平と言えば公平で迅速性もありますが、個別具体的事情をすべて排斥するものなら、やはり疑義は残ります。
  実費がこの一律額を越え、それが原発事故と相当因果関係のある、相当額の賠償の請求であれば、それを調停や訴訟等で別途争うことも可能ではないかとも考えられます。但し、その場合には、請求のための証拠収集、訴訟費用と審理期間等を覚悟しなければならないでしょう。