自炊代行業―差し止め訴訟

 書籍等を裁断してスキャナを使用してデジタル化の代行を業として行うことは、著作権法上の複製権の侵害に該当するとして、小説家らが代行業者に対して、自炊(じすい)代行業の差し止め訴訟を東京地裁に提起した旨の報道がなされました。
 自炊行為自体は、著作権法第30条1項により、「個人的又は家庭内」で行うことは、いわゆる私的使用のための複製として許されています。
 しかし、この自炊の代行を業として行うと、著作権法上の私的使用ではなく、実質上複製権の侵害にあたる、との考えも十分理解できるところです。
 ただ、その法的根拠につき著作権法第30条1項1号への該当性を指摘する見解も一部ではあるようですが、文言上(文理解釈上)の疑義も存します。
 著作物のデジタル化には一定のルールを法定し、その上での対処も検討されるべき課題とも思われます。
 いずれにしても、今後注視すべき訴訟の提起と言えるでしょう。