日本振興銀行事件と優越的地位の濫用

 日本振興銀行の木村前会長が、電子メールを削除し金融庁の検査を妨害した、との容疑で銀行法違反として逮捕されました。
 この検査忌避事件に関連して、同社の様々な報道がなされています。
 その中で日本振興銀行が、融資に際して、融資先企業に対して、役員の受け入れを要求し、株式を担保に提供させ、経営権を把握しようとしていた。
 銀行が融資に際して役員の派遣を要請することは、独占禁止法上かつて優越的地位の濫用として不公正な取引方法に該当することが日本興業銀行事件(昭和28年)において認定されていたものです。
 そして、この点、金融庁も、融資先への役員派遣要請を銀行法施行規則により、優越的地位の濫用として禁止しているところです。
 日本振興銀行の前会長の超ワンマン経営が、コンプライアンス法令遵守)を様々な面で踏みにじった実態が、ようやく明らかになってきた感じがします。