2010-01-01から1年間の記事一覧

経済法―百選でOK?

経済法(独占禁止法)は、どのように勉強すればいいですか?と聞かれることがあります。 慶応ロースクールで経済法の実務家講師をしていることからも、学生や弁護士の方々からも聞かれることがあります。 基本的な教科書としては、根岸先生や金井先生らの本…

日本トイザらス−公取委が立入り検査

公正取引委員会は、日本トイザらスに対し、優越的地位の濫用の疑いで、立入り検査に入りました。 同社が、納入業者に対して不当な値引きや、返品を強要したとの疑いがもたれています。 優越的地位の濫用における不当減額や不当返品は、本年1月施行の独占禁…

茨城県発注土木工事―官製談合か

茨城県や古河市が発注していた土木工事で談合がくり返されていたとして、公正取引委員会が、県庁の担当部署、境工事事務所、地元の建設業者など30数ヶ所に、不当な取引制限の疑いで立入り検査に入りました。 公取委は、県の職員が談合に関与した官製談合の疑…

製品事故とリコール

消費者が一般的に利用している製品に基づいて起こる怪我等の事故について、これを消費者庁に報告し、さらにリコールを実施するか否か、という相談をメーカーから受けることがあります。 この場合、消費者の怪我が全治30日以上か否か、又、事故の全国的広がり…

EU競争法―情報交換を禁止へ

EUの欧州委員会は、カルテル防止のためEU競争法の運用を強化して、同業者間の情報交換を厳しく制限する新ルールを年内に確定する方針を明らかにしました。 この同業者間における情報交換は、独占禁止法遵守マニュアル等においても従前より問題となっていたも…

リーニエンシーの活用

最近の独占禁止法をめぐる相談の中で気付く点は、何等かの形でリーニエンシー=自首申告による課徴金の減免制度の利用が企業においてごく一般的に行われていることです。特に大企業においては、このリーニエンシーの活用が目立っています。 公正取引委員会が…

小田急騒音訴訟−42人に、1152万円

小田急電鉄の騒音に対し、沿線住民が提起していた騒音の差し止めや損害賠償訴訟について、東京地方裁判所は42人に、計1152万円余の賠償を命ずる判決を下しました。 鉄道の公共性から差し止めの点は棄却し、損害賠償については受忍限度を超えたとして一部の住…

IFRSと企業法務

最近ビジネスの世界でよく聞かれるようになったIFRS=国際会計基準が、今後日本の企業法務にどのような影響を及ぼすかにつき、その一端を検討してみました。 そこで、当ホームページにおいても「IFRSと企業法務」との題名のもとに概要を記載してみました。 …

ネット通販と法規制

最近、ネット通販に関する法律相談をよく受けることがあります。 それは、購入申込者からの相談であったり、又、ネット通販により無店舗販売を行ってみようとの方々からの相談もあります。 そこで、当ホームページにおいても「ネット通販と法規制」のタイト…

知財高裁で勝訴−職務発明対価請求控訴事件

プレイステーション等の光ディスク用光学ピックアップに関する職務発明について、その元社員の方がソニー(株)に対して、その相当な対価を請求していた訴訟の控訴審で、知的財産高等裁判所は、原審を変更して、元社員勝訴の判決を言い渡しました。 私達は、…

独占禁止法ケース研究会

当事務所では、金子晃弁護士を中心として、最近の独禁法違反事件について事例の研究をする会を発足することとなりました。 研究の成果は、随時ホームページ上にて公表いたしたく存じます。 この研究会は、学者の方々や弁護士等の実務家が共同して独禁法違反…

液晶パネル国際カルテル-アメリカで提訴

液晶パネル国際カルテル事件で、アメリカのニューヨーク州、フロリダ州、イリノイ州が、シャープ、日立製作所、東芝、サムスン電子等に対し、損害賠償請求訴訟を提起しました。 この液晶パネル国際カルテル事件については、2008年に、アメリカ司法省に対…

夏期弁護研修−in軽井沢

夏の弁護研修が軽井沢で行われました。 今回は、独占禁止法に関する弁護の研修で、テキストは最近改訂された「経済法判例百選」(有斐閣)を使用しています。 秋の慶應義塾大学法科大学院(ロースクール)の講義では、この経済法判例百選をテキストとして使…

レナウン−臨時株主総会

株式会社レナウンの臨時株主総会が開催されました。 議題は、中国の山東如意科技有限公司への41%の第三者割当増資と、山東如意の三名を取締役に選任する件。 私は、株主総会の運営等の勉強のため20〜30年前から数社の株主となっていますが、その中の一社が…

日本ヤフーとグーグルが提携

日本のヤフーとグーグルが提携すると発表されました。検索のシェアでは約9割を占めることになり、ネット広告や営業の面で競争を阻害するおそれがないか懸念されます。 日本での検索では、ヤフーが53%、グーグルが37%と両社あわせると9割位となります。私自…

LPガス容器−公取委、立入り検査

LPガス用の溶接容器の販売に際し、価格カルテルを結んでいたとして、公正取引委員会は、日本溶接容器工業会や、メーカーである中国工業(呉市)、関東高圧容器製作所(前橋市)、神鋼機器工業(倉吉市)等10社、30ヶ所に立ち入り検査に入りました。 LPガス容…

BHPビリトンとリオ・ティント−公取委、2次審査へ

鉄鉱石大手のBHPビリトンとリオ・ティントとの豪州西部での鉄鉱石事業の統合計画について、公正取引委員会は、本格的な2次審査(詳細審査)に入ったことを公表しました。 鉄鉱石の生産では、世界2位のリオ・ティントと3位のBHPビリトンが豪州西部で生産を統…

日本振興銀行事件と優越的地位の濫用

日本振興銀行の木村前会長が、電子メールを削除し金融庁の検査を妨害した、との容疑で銀行法違反として逮捕されました。 この検査忌避事件に関連して、同社の様々な報道がなされています。 その中で日本振興銀行が、融資に際して、融資先企業に対して、役員…

石川県土木工事談合−公取委立入り検査

公正取引委員会は、石川県と輪島市が発注していた能登半島地震(平成19年)の復旧土木工事等に関し、地元建設業者が談合をくり返していたとして、約30〜40社及び鳳輪建設業協会に立入り検査に入りました。 輪島市や珠洲市の土木建設業者では、数十年前から県…

ロイヤルHCへ−排除措置命令へ

公正取引委員会は、大阪に本店を有するロイヤルホームセンターに対し、優越的地位の濫用として、排除措置命令を出すべく事前通知しました。 同社は、納入業者に対して従業員の派遣を強要し、又、売れ残った商品を一方的に返品したものとされています。

路線価-東京都で11.3%下落

国税庁が、7月1日に路線価を発表し、東京都では11.3%の下落となりました。 私達弁護士の仕事でも、この路線価はいつもよく使う数値です。 相続税や贈与税の算出には、この路線価が基準となり、今はweb上でも路線価を見ることができます。 この路線価は、公…

株主総会-役員報酬1億円以上、約280人

本年度の株主総会の集中日は6月29日。今年からは、1億円を超える役員報酬の開示がなされることとなりました。 外国人経営者やオーナー経営者に1億円を超える役員報酬が目立ったようです。 役員報酬は株主総会で決議することにより決まるのが会社法の建前です…

ウナギの産地偽装−消費者庁が立入り調査

セイワフードが、台湾産ウナギを国産と産地の偽装をした容疑につき、JAS法違反、景品表示法違反の疑いで、消費者庁、農水省、東京都が立ち入り調査を開始しました。 ウナギの産地偽装については、かねてから中国産や台湾産のウナギを、三河一色産や四万十川…

職務発明訴訟−原告側弁護士さがし

従業員が勤務先会社の業務に関して発明をし、これを会社が特許申請した場合、従業員は会社に対して相当の対価の支払を請求できるものとされています。 典型的には、従業員が会社を退職した後、この相当対価の支払を求める訴訟を、職務発明訴訟と呼ぶことがあ…

職務発明訴訟−4%の貢献度

元社員が、日立製作所に対して半導体集積回路の複製技術に関する職務発明につき、その対価を請求した訴訟について、東京地方裁判所は、6,300万円の請求を認容しました。 職務発明に関する対価を請求する訴訟は、平成16年の青色LED訴訟で一躍脚光をあびた感が…

役員報酬の開示−日産ゴーン社長に8.9億円

今期から始まった、1億円以上の役員報酬の開示制度。 株主総会においても注目されるようになりました。 日産自動車の株主総会では、カルロス・ゴーン社長への役員報酬が8億9,000万円と開示されました。 会社法第361条においては、役員報酬は基本的には株…

入札と贈収賄−特許庁審判官とNTTデータ部長−

特許庁の業務処理システム計画の情報の提供の見返りとして、飲食接待後のタクシーチケット200数十万円を授受していたとして、特許庁審判官が収賄容疑で逮捕され、又、NTTデータの営業担当部長が贈賄容疑で逮捕されました。 特許庁では、従来システム関係は随…

消費者団体訴訟-携帯電話の中途解約の違約金条項の差し止め

京都消費者契約ネットワークが、NTTドコモとauに対し、携帯電話の中途解約の際の違約金支払条項の差し止めを求める訴訟を京都地方裁判所に提起しました。 この消費者団体訴訟は、平成19年施行の消費者保護法の改正により認められた制度であり、消費者契約法…

今年の株主総会の傾向

3月末決算期の上場会社の株主総会のシーズンが近づいてきました。 いつも梅雨時に提示株主総会が続々と開催されます。昨年は、新型インフルエンザ対策として会場受付で、マスクが配布されていた株主総会もありました。 今年は、いくつかの重要ポイントが株主…

中澤氏家薬業へ警告

公正取引委員会は、高知市に本店を有する中澤氏家薬業?に対して、同社が保険薬局に店舗を賃貸する際に、同社から医薬品の全量又は8割以上を購入することを義務付けていたとして、不公正な取引方法の第12項、拘束条件付取引に該当するものとして警告を行い…